母と目が初めて合ったそのときの心でみんな死ねますように(岡野大嗣)
「犬神家の一族」とか「八つ墓村」とか観て、これは場所が主役なんやなあって思って、「君の名は。」もあの二人が主役じゃなくて、糸守町が主役だとやっと気が付いた。どっちも外部のひとが謎を解いていく。
絵と生活
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母と目が初めて合ったそのときの心でみんな死ねますように(岡野大嗣)
「犬神家の一族」とか「八つ墓村」とか観て、これは場所が主役なんやなあって思って、「君の名は。」もあの二人が主役じゃなくて、糸守町が主役だとやっと気が付いた。どっちも外部のひとが謎を解いていく。
ダイジョウブ呪文となえて目をつぶる今ほしいもの数えて眠る(ふらみらり)
「犬神家の一族」「悪魔の手毬唄」をはじめてちゃんと観た。渥美清の「八つ墓村」のあとに観ると市川崑のやさしさがよくわかった。
眠れない夜が向こうからやって来てそしらぬ顔で寄り添うのです(佐原みつる)
「くるべきときがきたらうごきますからだいじょうぶです。もし大事なときにもなまけてたら、それはそれでそのていどのものだったんだってあきらめがついて、人生がわかりやすくなります」というお告げをもらった。
死ぬことが確定してても生きているまだ生きてるんだ踊らせてくれ(後藤葉菜)
渥美清の「八つ墓村」、怖かった。殺戮シーンも怖いけど、毒殺で吐き散らかしてるのが怖かった。
ぬくくぬくく肩の辺りに在る鬱がきたない猫のやうに親しい(目黒哲朗)
ギャラリーヴィーでツダモトシ「装人11(SO-MEN November 2016)」をみた。ツダさんと久しぶりに話して、そうだツダさんってふわふわ系の人だったと思った。
どのくらいわたしに興味がありますか。あらゆるくぼみの雨水ひかる(蒼井杏)
サマータイムマシン・ブルースを観ていたら、タイムマシンで過去に行くときは下へ、未来は上へ移動していてなるほどなあと思った。でも文章だと下は未来で上は過去だから、二次元だと下は未来で、三次元だと下は過去なのかと思った。
詩と愛と光と風と暴力ときょうごめん行けないんだの世界(柳本々々)
柳本さんと同人誌というか本を作ることになった。タイトルが『きょうごめん行けないんだ』に決まった。
かつてじんるいをめつぼうのふちにおいこむげんいんとなったこたつ/竹林ミ來
母がかがんでいたので、どうしたのかと思って声をかけたら、湯たんぽを抱えてるだけだった。湯たんぽ、うちの犬が丸まってるときと同じぐらいの大きさで、見るたびに大きすぎると思ってしまう。
悲しみが降りやまぬゆゑあなたから白い枯れ葉をとりだしてます(木下こう)
西明石で、出発まだ時間のある電車に乗っていたら、広告の取り替えをおじさんたちが楽しそうにしていてほのぼのした。これは手強いなあと言っていて、手強いのもあるんやなあと思った。
にゃにゃあにゃあにゃあにゃあにゃにゃあ【訳:君は私をそっと抱き上げるべき】/柳本々々
柳本さんと短詩探偵団をした。
【フシギな短詩・裏の放送室】短詩探偵団がゆく−黄昏の体かがんで蝶を吐く事件−
黄昏の体かがんで蝶を吐く/石部明
誰からも同意を得たくない気分 全ての問いににゃーと答えよ(谷じゃこ)
NHKで手塚治虫の番組をみてたら、斎藤環さんがマリメッコらしきシャツを着ていて、「斎藤環、マリメッコ」で検索したら、「マリメッコのシャツを着たりと忙しい。」が見つかった。
なんとなくショートケーキのイチゴとは仲良くなれる気がしなかった(宇野なずき)
糖分を摂取してやる気を出そうとチョコレーヌとポロショコラを食べたらむっとなった。気持ち悪くなってなにもできない。
もう二度と住めなくなった星だけどプラネタリウムの中では青く(きつね)
絵を描くはずが『めまい』をみていた。マデリンが言う「私を失ったら愛が本物だったと分かるはず」って呪いみたいやなと思った。マデリンがかけた呪いだから同じひとでもジュディにはとけないんやなあって思った。
鈴の音のような陽がふる木々の間にねむった犬をふっくらと抱く(坂井ユリ)
絵を描くはずが『おとうと』をみていた。大量のあひるが出てくるところがやっぱり好きだ。
きみが十一月だったのか、そういうと、十一月は少しわらった(フラワーしげる)
最近よくタコを描いていて、自分の身体のイメージってタコだなと思った。頭と手だけって感じがする。
みずうみは大きめの池は大きめの水たまりは仲のいい雨(岡野大嗣)
新聞でときどき遭遇する木皿泉のエッセイに、もしかしたら死ぬとお母さんのところに戻るんじゃないのって話をしていて、岡野さんの母と目がの短歌を思い出した。
その鍵は今から四つかぞえたら夢からさめた私が開ける(我妻俊樹)
夢の中の電話って声きこえてたんかなって気になっていたら、電話をかける夢をみた。夢の中の電話はやっぱりうまくつながらなくて、声きこえないなって思っていたら、唐突に何を言ってるのか全然わからない声が聴こえた。
明け方のあなたの夢を訪ねると鳥の名前で呼ばれたわたし(鈴木美紀子)
家の柚子の木、この前まで緑色だった実がほとんど黄色くなってる、と思ったら今日風呂に投入されていた。実がなくなるまで柚子風呂が続く。
心にも水にも深さがあることのふしぎ届かぬ手をさしのべて(高松紗都子)
『ゼロ・グラビティ』はやっぱり映画館で観たかった。『ゼロ・グラビティ』公開時、ほんとにお金がなくて、映画館に行くお金も捻出できない状態だったの思い出す。
飼い猫によくある名前をつけたこと機密みたいに伝える電話(松尾唯花)
『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』みたいに紙に「私の話は私のもの」って書いて誰かに見せたい。あと右手のひらにyes、左手のひらにnoって書いて手を挙げたい。
コードネームは「足袋猫」だつた気もするが世界平和のためにごろにやん/秋月祐一
『ゼロ・グラビティ』と『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』を観たらどっちもサンドラ・ブロックだった。