絵と生活
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猫とコタツの百年戦争

すでにじんるいをあらかたほろぼしたこたつ内部で猫の反乱(竹林ミ來)

竹林さんの短歌の絵を描くのがこれで26回目のようだ。そのうち『食器と食パンと竹林ミ來』というZINEが作れそう。
 
こたつ会議

侵略はかくも無慈悲に行われコタツにぼくの場所はもう無い(山本左足)

漫画家の古泉智浩さんと歌人の枡野さんの「本と雑談ラジオ」が最近の楽しみで、月一だからそろそろと思っていたら第二回が公開されていたので聴いた。次回は『愛のようだ』が課題図書になってるから早く読もうと思った。 もう一冊の課題図書『圏外編集者』も気になる。
 
そろそろ白鳥が

友だちがゆっくりとけていなくなる彼は凍っていたんだろうか(川合大祐)  

ジョージが笑って、「それってどんな話?」と言うので、「10人産むと1人殺していい、という法律がある世界のお話です」と答えたかったのだが上手く言えず、「コロス……ヒトリ……ウム……ジュウニン……」と英単語をカタコトで並べたら恐ろしい殺害予告みたいになってしまい、ジョージも「え!? え!?」と何度も聞き返し、無料体験教室のほとんどがその話で終わってしまった。(村田沙耶香『きれいなシワの作り方』より)

村田沙耶香さんのエッセイ本を寝る前に読んでる。面白い。『殺人出産』も買おうと思った。
 
雪だるまと冬眠

わたしを解凍したらほんとに人間に戻るのかこの冬のあかつき(荻原裕幸)

最近、犬が掘った穴に丸まって寝ている。去年はそんなことしていなかったのに、今年から急に穴を掘って丸まり始めた。寒いんかなあと思っていたけれど、全く寒そうではないし、なんで急に穴に入り始めたのかわからない。
 
寒くなる前に

夕暮れにこたつの群れが飛んでいく ときどき猫がつかまっている(竹林ミ來)

風邪の気配がしたので、あたたかい緑茶でうがいをして、ハチミツ入りの紅茶をがぶがぶ飲むというインターネットの情報に従った。
 
おいら猫ね

たてがみを失くしてしまったライオンが大きな猫のふりして眠る(やじこ)

コタツなニャン、おいら猫ね。
ライオン嫌になった子。
(こたつなにやんおいらねこねらいおんやになつたこ)
この絵から回文家のコジヤジコさんが回文を作ってくれた。
今日は犬の水をかえてもかえても氷になってしまう寒い日だった。
 
光る炬燵

コタツには守られてばかりいるのだしせめてきれいな布団を着せる(ナタカ)

ねむれなくてテレビをつけたらデヴィッド・ボウイがModern Loveを歌っていた。初めて『汚れた血』を観てこの曲が流れたのを聴いたのも確かこんな時間帯だった。思い出してしんみりした。
 
ゆゆしい結晶

かはりなんてゐない同じ虹を見て同じ虹が消えるのを見たの(太田宣子)

ここ数年買うかどうか迷っていた『うる星やつら』をとうとう買い始めた。30巻の「饅頭こわい」まで昔読んでいて、その先を数十年経ってやっと読んだ。
 
元の世界に戻る

沈黙のなかに「虹だ」の声があり それきり無言電話がこない(まるやま)

谷端実さんの個展が 2/2〜2/7にあるのでなんとか東京へ行きたい。
 
ショック療法

苗字など変わった君に電話してその凄まじさ、吹雪くモシモシ(柳本々々)

柳本さんのあとがき全集で工藤吉生さんの短歌と小津安二郎の『お早よう』のことが書かれていて、はられている『お早よう』の画像が怖い。柳本さんの文章も「こわいんです。」で終わっている。私もつい最近『お早よう』を観ていて、佐田啓二と久我美子が駅にいるシーンをなんとなくスケッチしていたら、構図がきっちりしすぎて描いてて怖ろしくなった。あと工藤さんの短歌はけっこう読んでいるつもりでいたのに、膝蹴りの短歌を知らなくてなんかくやしかった。
 
遠くから聴こえる

またミラーボールのなかで眠るから雪が降ってもおこさないでね(藤本玲未)

本谷有希子の芥川賞がうれしい。妹がおもしろいよって教えてくれた作家だからか不思議な思い入れがある。ダヴィンチに連載されていた『乱暴と待機』を妹が熱心に読んでいて、他も読みたいと『江利子と絶対』を買っていたのを覚えてる。『江利子と絶対』も読んだし、その他いろいろ読んだのに、『乱暴と待機』だけなぜか読んでいないままでいることに今さっき気が付いた。
 
忘れる速度

もう声は思い出せない でも確か 誕生日たしか昨日だったね(岡野大嗣)

王様のレストランの再放送をみていて、みれてなかったSMAPのを夕方のニュース番組でみた。短い映像やったのにめちゃくちゃ怖かった。
 
雪だるまで作るみずうみ

かなしみはいたるところに落ちていて歩けば泣いてしまう日もある(木下龍也)

ナナゲイ会員になったら、『ハッピーアワー』が1プログラム1000円になるのか。『友だちのパパが好き』『ヤクザと憲法』も観たいし、なるか悩む。
 
終わらない神経衰弱

悲しみはいくつも名前をもっていていまはどれにもあてはまらない(大村椅子)

地震のときのことを思い出すとき、21年ってすごく短く感じる。そこだけ一瞬でワープできる記憶に思う。
 
白々しい雲

かなしみのように積もっていく雪のほんのすこしを手であたためる(なみたま)

ジマさんと大阪をうろうろするつもりが、ほとんどの時間を阪急百貨店で過ごした。百貨店って楽しいと改めて思う。葉ね文庫でジマさんに『かわいい夫』を強くおすすめしたら、買ってくれた。
 
スノー・ウォーズ 雪だるまの逆襲

要するに雪だるま戦争でしょう雪合戦の行き着く先は(綾門優季)

妹にうちの犬はムーコより太いと言われてショックだったので、裏庭で走らせてもう少し運動させるようにした。でも最近寒すぎて犬につき合うのがつらい。
 
知らない道

眠れるよ夜が出口を塞いでも三日月ほどのあかりがあれば(高松紗都子)

『カメラの前で演じること』、買ったときは、これいつ読むんやろうなと思っていたのに、ほぼ読み終わってしまった。『ハッピーアワー』のサブテキストが読めたのがほんまよかった。今は『ハッピーアワー』のシナリオ部分を少しずつ読んで映画を思い出している。
 
ショートケーキの苺の灯

火のやうにさびしいひとにさはれずにただそばにゐてあたためられる(本多響乃)

「火のやうにさびしいひと」の「ひと」の部分を「短歌」に替えてみて、短歌が作れない私は、ただそばにいてあたためられている気がすると思った。
 
清潔を好む雲

雲間から舞ひ散る付箋のいくつかがあなたの未来につきますやうに(門脇篤史)

彼女らの声は演技の場で「演者は演者のまま、テキストでもある」ように響く。それは最良の語り手の語りにおいて起こることと似ている。(濱口竜介『カメラの前で演じること』)

ある強烈な体験をして、それを人に伝えようするとき、私たちは、語りそのものになる。語りが私たちに乗り移り、自分自身を語らせる。私たちはそのとき、語りの乗り物や容れ物になっているのかもしれない。(岸政彦『断片的なものの社会学』)

『カメラの前で演じること』を読んでると『断片的なものの社会学』でもなんか似た感じのがあったなと不思議な気持ちになった。
 
光地獄

ひかってる方へ確かに来たはずが全部あかるくてわからない(唐梨なつ)

妹は目が悪いので朝起きてまず眼鏡を探す。柳本さんのあとがき全集を読んで、ひかりを探してるんやなぁと思った。
 
隣の隣の隣の家

あたたかな灯のともるあの窓辺まで何光年の道のりだろう(山本左足)

甥っ子はきのこブームらしく、この前はエリンギのパックを持って現れた。昨日ブームのもとになった歌「ドコノコノキノコ」を初めてみた。甥っ子がきのこを見たらずっと「ノコノコ」いってる理由がわかった。
 
いつかのペガサス

随分ととほくまで来た 自転車でどこへでも行く大人になつて(濱松哲朗)

メリーゴーランド京都でするガロ−アックス−長井勝一展に行きたい。
 
虹の末裔

虹だからぬるぬるしててあたたかく踏めばぱりぱり音もするのね(柳本々々)

加島祥造さんが亡くなったと知った。『求めない』の文庫本の表紙と中の絵を描かせてもらったので、『求めない』、めっちゃ読んだ。だけどわからない部分が多いままでいた。最近、長谷川健一さんの「うたうは喜び」を聴いていて、なんかわかりそうな気がしてきたかもと思っていたところだった。
 
甘くて明るい実験

しあわせな話をしよう暗闇に目が慣れていくような速度で(田中ましろ)

今日で寝る前の楽しみの『かわいい夫』が読み終わりそうでさびしい。読んだ人と『かわいい夫』でジューイしたい。
 
バターひとかけらの祈り

いくつもの前世の自分が集まって祈ってくれているような朝(前田宏)

村本大輔のオールナイトニッポンがないので、『東京物語』を観る。原節子の笑顔がすごくてはっとする。
 
空白のダンス

夕方にやっと目覚めて出歩けばやけにリアルになびく前髪(岡野大嗣)

浦沢直樹の漫勉、再放送のたびにみてしまう。妹にさいとう・たかを、すごかったよって言ったら、モリス氏にも同じことを言われたらしい。あと妹が藤田和日郎が好きだと初めて知ったので修正液で線を削るように描いてたでと伝えた。

1月のカレンダーを作りました→サイレンと犀1月カレンダー
 
林檎から林檎

ロウソクの炎のようだ幸せは分けても分けても消えない明かり(雪間さとこ)

昨日は妹の家に猫の様子を見に行って、一日相棒をみながら猫と過ごした。帰りに一瞬ミントへよってセールの空気を吸う。夜は甥っ子にいらいらしていた犬の背を40分ほどなで続けた。
 
洗いたての日々

汚れては洗って日向に干すように日々を過ごしてゆけますように(斎藤見咲子)

元日も妹と甥っ子とおかあさんといっしょを観ていたら過ぎていった。おかあさんといっしょの中の曲って、全部頭に残るし全部おもしろい。すごい。私の最古の記憶は「おかあさんといっしょの時間だからテレビのチャンネルをかえてほしくて祖母を呼ぶ」なので、おかあさんといっしょって根深いんやなぁと思った。テレビのチャンネルがまだボタンじゃなくて回すやつやったのをよく覚えてる。