絵と生活
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この先は鳥の国

右を見て左を見たら右を見て振り返りまだ渡れない日々(竹林ミ來)

「子宮は子どもを産むためにあると思うわ。その機能を使わなかった人間はね、狂っていくしかないんだわ。恋愛や、出産や、子育てに費やされなかった時間を甘くみてはいけない。………体にそれがある、ということは、何か意味があることなのよ」
(窪美澄『アカガミ』より)

ああ、怖い。でもとても面白い。村田沙耶香さんの『消滅世界』との違いをごちゃごちゃ考えつつ読んだけど、全くまとまらず頭の中がごちゃごちゃしたままでいる。どっちも好きだとしか結論がでなかった。
 
光る階段

登っても登っても近く見えてこない月まで続く階段を行く(瀧音幸司)

川上未映子の新刊『あこがれ』は「ミス・アイスサンドイッチ」と「苺ジャムから苺をひけば」の二編が入ってるのか。最強の本だ。
 
小枝モンブラン

世界一綺麗な声で鳴く鳥になって一度も鳴かずに生きる(山本左足)

今日のクローズアップ現代、岡本喜八やったんか!見逃したので再放送をすぐ録画した。
 
思い出クリーム

思ひ出は眠つてるから足音を忍ばせてゆくほかにないから(飯田彩乃)

少し前くらいから、どこからかやってきた野良猫が家のまわりを徘徊している。うちには犬がいるのであまり近づいてこないけれど、隣家は勝手に家の中に入ってきてパンとか魚とかかじられて困ると言っていた。家の中に入ってくるんやから、隣家で飼ってしまったらいいのでは、と思ったけれど、犬しか飼っているのを見たことがないので、猫嫌いなのかもしれないと思った。小さい時から知っているおばちゃんなのに、猫が好きか嫌いか知らないことにびっくりした。
 
光の街と虹色の猫

きみもまださびしいですか北に住む猫背猫舌猫目のひとよ(久野はすみ)

家の近くにある昔は駄菓子屋で、民家に改造されて、売られて、買われた家が、今はうさぎだけがいると母から聞いた。飼い主は別のところに住んでいて、うさぎの飼育小屋として家を使用しているらしい。けっこう大きい家やのに、うさぎだけがいるんかと思ったらなんか不気味に見えてくる。
 
長い終わりの始まり

長い夢を見ていたような気がしたが ただあなたを失ったのだ(岩尾淳子)

風邪がなかなか治らない。鼻の下ががびがびなので、はしかたの目もとクリームを塗った。寝る前に藤村シシンさんの『古代ギリシャのリアル』を読むとおもしろくて眠れなくなる。ギリシャ神話に初めて興味が持てたしもっと知りたくなった。
 
回転木馬から流星群まで

えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい(笹井宏之)

深夜に「アザーズ」を観た。途中で昔観たことを思い出して結末も思い出した。昔観たときは「ようできた映画やなぁ」っていう感想しかなかったのに、数年経って、今あらためて観るとすごい映画だった。死んだあとにもし幽霊になったらこんな感じなんかと、とてもリアルに感じた。
 
虹は厄介

死ぬまでを永遠と呼ぶ人たちよ おもに掃除をたすけてほしい(遠野真)

自分が死んだあとの掃除って自分ではできないから、掃除をたすけてほしいってよくわかるし、死ぬまでが永遠じゃなくて自分が死んでも永遠は続いていくって思ってるから、掃除をたすけてほしいって頼むんやろうな。とか絵を描いたあとにごちゃごちゃ考えていた。
 
夢のなかの夜

永遠に夢から覚めない二人でいい君の寝言に寝言で答える(近藤きつね)

この短歌の二人は同じ夢を見てるんやろうか。夢のカルテとかインセプションみたいと思った。インセプションで夢の中でさらに夢を見てどんどん深くなっていく感じと短歌を読むときの感じは自分の頭の中で何か繋がってる。
 
鳥がいてねむい空

青空とブルーシートにはさまれてサンドイッチのたねだねぼくら(岡野大嗣)

風邪が悪化していく。
下北沢のB&Bでする岡野さんと木下さんのトークショーの予約をした。
 
電気バター

トーストに載せたバターは形から放たれたくて溶けてゆきたり(中畑智江)

夜中にぞくっとして、風邪がきたな、と思ったらやっぱり風邪をひいた。年々風邪の気配を察知する能力が上がっているけれど、防御力は下がっていく。葛根湯を久しぶりに飲んだらめちゃくちゃまずかった。
 
まるい海

目の前に吊革がある吊革の等間隔にさびしさがある(工藤吉生)

昨日は昼からシマウマ書房に在店。たくさん人がきてくださってうれしい。ルイドリツコさんと荻原さんの話をしていたら、荻原さんがあとからやってきて、おおっとなった。「荻原さんにはそのうちいつか会える気がする」と思っていたそのいつかが今きた!と興奮した。  
 
正しいドーナツの保存方法

自分から手を挙げてつかもうとするのは朝夕のつり革くらい(島坂準一)

昨日の真夜中のニャーゴのクトゥルフ神話TRPGの話、興味深かった。本屋で働いていたときに、ニャル子とこれがなぜ?san値??とわからないままにしていたことがすっきりした。そして真夜中のニャーゴの影響で藤村シシンさんの『古代ギリシャのリアル』を買った。
 
布団を干す神さま

太陽になでてもらった幸せな布団にくるまり眠るしあわせ(安良田梨湖)

今日は羽田圭介のオールナイトニッポンGOLDだ。それから朝井リョウ加藤千恵のオールナイトニッポン0だし、真夜中のニャーゴもみたいし、忙しい。
 
白鳥をふっくらさせる

補給する日々に飽き飽きしてきたね。からっぽは死ね。素直な瀕死。(綾門優季)

京都市役所前にテオ・ヤンセンの何かがきてる!動くところを一目見たいなぁ。でも18日まで。もっといてほしい。
 
消しゴムの屋上

消しゴムの角が尖っていることの気持ちがよくてきさまから死ね(加藤治郎)

ながせたいりさんの個展『絵日記提出します』へ最終日にぎりぎり行けた。ツイッターでいつも楽しんでいた絵日記がぎっしりですごかった。ながせさん本人にも会えて、絵日記ZINEにサインまでしてもらった。
 
白い消滅

教室の窓から投げた消しゴムがすこし消しながら落ちてゆく(若草のみち)

窪美澄『さよなら、ニルヴァーナ』、読み終わった。なにかものすごく長い旅をして帰ってきた気持ちになった。窪美澄さんの本が残すところあと一冊になってしまって寂しい。新作が載っている文藝冬号と読み返したくなって『ふがいない僕は空を見た』を買った。
 
消したい日々

消しゴムも筆記用具であることを希望と呼んではおかしいですか(岡野大嗣)

帰りの新幹線でメルヘンのサンドイッチを食べた。なんかやたらきらきらしてみえるサンドイッチやなぁとずっと思っていた。美味しかったのでまた食べたい。
 
空気より軽い話

独白もきっと会話になるだろう世界の声をすべて拾えば(木下龍也)

10/10 ホテルの近くによく名前を聞くカキモリがあったので、荷物を置いてから行った。ノートを一冊作って、ペンやシャーペンを7本買った。そのあと夜のスカイツリーをみながら川沿いを浅草まで歩いたけれど、川沿いの道が真っ暗で人がいなくて途中で怖くなった。ホテルの隣がバンダイの本社で、アンパンマンとかドラえもんとかウルトラマンがライトアップされていた。
 
古い赤ずきんと狼

どくりょう。と呪文のように呟かれ無かったことになる物語(岡野大嗣)  

10/10 イベントに参加するために東京のホテルを予約していたのだけれど、イベントの日にちを勘違いしていて予定がなくなり、一日東京観光した。
吉祥寺のSajiloCafeでカレーを食べて、トムズボックス、百年、にじ画廊→下北沢B&B、七月書房、モルティサンティで珈琲とケーキ→青山スパイラル、ピンポイントギャラリー→ホテルへ帰る。七月書房で花原史樹さんのねこ刺繍トレーナーとZINEを買えてとてもうれしい。
 
宇宙ぎょうざ

本当はきみに云ひたい事柄を餃子に聞かせてゐる夜である(有村桔梗)

10/9 シマウマ書房へ展示の搬入に行った。17時29分の新幹線までに終わるか心配だったけれど、ちょうどいい感じに終わった。キノブックスから食器と食パンの本が大量に送られていて、え、こんなに、、、ってなった。

シマウマ書房で『食器と食パンとペン』か『サイレンと犀』を買うとポストカードがおまけでついてきます。展示は11月1日までしています(火曜定休)よろしくお願いします。18日に在店しています。
 
けもののささやき

た行しか知らぬ私は「土」と言う あなたのために「好き」の代わりに(大嶋航)

斎藤見咲子さんの「好きですと言うくらいしか好きですと伝える術はないと言うのか」を読んで考えていたら、大嶋さんの土の短歌を思い出して、もう一度考えた。
 
チョココロネ隊

しっぽからささやいてみるチョココロネあの子に声を届けておくれ(やじこ)

妹の誕生日だった。プレゼントを用意していなかったので、最近撮った犬の写真の中でいいやつを送った。犬の写真、寝る前にみるとよく眠れる気がする。
 
極私的赤ずきん

好きですと言うくらいしか好きですと伝える術はないと言うのか(斎藤見咲子)

柚木さんの小説を読んでいたら、『グロテスク』が読みたくなってきたので探して上巻を読んだ。10年ぶりくらいに読むと、また何か違って見える。下巻が読みたいのに探してもみつからない。
 
星を掴む

壁紙に白き起伏を撫でながらわたしは夜に護られてゐる(濱松哲朗)

大阪にあった祖母の家が砂壁で、触ると手にきらきらしたラメみたいなのがついて好きだった。寝るときは足でその砂壁を触って、ざらざらした感触を楽しんだり、足にきらきらついてるんやろうなぁと想像したりしたことをこの短歌を読んで思い出した。
 
腐りかけの夢

何回も注意したのにまた獏が悪夢を食べてお腹を壊す(龍翔)

腹痛で妹と約束していた甥っ子と新神戸で新幹線をみる会を中止した。妹は新幹線はまた今度にして今日はJRの電車にしとくと言っていた。「ゆきゆきて、神軍」も行こうと思っていた展示も行けず。
 
早い冬眠

どうせすぐちょうどいい感じになるし死んだふりして元気でいよう(岡野大嗣)

こざわたまこ『負け逃げ』の中に「小学校に持っていった雑巾が、自分だけ折りたたまれた手拭いだった時、人生で初めて惨めという言葉を知った」とあって、岡野さんの短歌「ともだちはみんな雑巾ぼくだけが父の肌着で窓を拭いてる」だ!と思った。


10月のカレンダーを作りました→サイレンと犀カレンダー
あとカレンダーの柄と同じようなブックカバーも作りました。
セブンイレブンのネットプリントで10月7日中まで印刷できます(B4カラー1枚60円)。予約番号は「88831853」です。
 
リピート

朝なんて来るな来るなと思っても俺の願いはまた無視される(西之原正明)

西之原さんの短歌は、本当に自分自身のためだけに作られている感じがして好きなのだと思った。
 
華やかな眠り

はなたばのような大きな空洞に包まれてゆく ひどく眠たい(岩尾淳子)

「自信ないってだけで、胸を張らないでください。そんなの皆、おんなじじゃないですか。生きるのが怖いのは世の中で自分だけなんて思うのは、傲慢ですよ」(柚木麻子『けむたい後輩』より)
『けむたい後輩』と『早稲女、女、男』が一気に読み終わってしまった。柚木さん、全部読みたい。
 
夜が割れる音

今夜から月がふたつになるような気がしませんか 気がしませんか(笹井宏之)

シネ・ヌーヴォで幕末太陽傳してる。観たいなぁ。幕末太陽傳、映画館で5回くらい観ているから、映画館で一番観た映画一位だ。二位は仁義なき戦いだ。