絵と生活
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飛ぶ涙

風船を見上げるようなお別れをしました(やくめは終わったのです)(飯田彩乃)

土曜日に玉川桜さんの個展「バラバラビリンス」へ。いつもツイッターで絵をみていたので原画がみれてとても嬉しい。ご本人にもお会いできて、わーってなった。缶バッチとこの前の文学フリマに出してはったZINEを買った。サインと蛸と蟹を描いてもらった。
 
ソーダ水が海になるまで

いつまでも僕はあなたに話していたい海にまで至るようなことばで(ユキノ進)

犬が暑そうだったので、今年初めての氷をあげた。
読み終わった「ナイルパーチの女子会」のことを考えていて、ユキノさんの「獣舎へと運ばれてゆく柵越しにアフリカゾウはペンギンに会う」という短歌をなんとなく思い返したりした。
 
祝福


花瓶だけうんとあげたい絶え間なくあなたが花を受けとれるように(笠木拓)

ちくま文庫の獅子文六「七時間半」の表紙をみて、フランキー堺の「特急にっぽん」が完璧にイラスト化されてる!と思ったら原作本だった。
シネ・ヌーヴォの原節子映画祭、川島雄三の「女であること」が観たかったけどまぁいいか、と思っていたのに、「女であること」の冒頭のすばらしさを語っているサイトをみてしまい、再び観たくなってる。
 
白い風

風という名前をつけてあげました それから彼を見ないのですが(笹井宏之)

あとがき全集で、柳本々々さんが私の絵について述べてくださっている。嬉しい。
猫の森に帰ったあとで猫と書いたあとがき−わたしはシリアスににゃあと綴った−
チャップリンよりキートンの方が断然好きなので、なるほどーと思いながら読んだ。
 
犬と森


鈴の音のような陽がふる木々の間にねむった犬をふっくらと抱く(坂井ユリ)

ナイルパーチの女子会、読み終わった。あああ、面白かった。芋けんぴって凶器になるんやなぁ。付箋だらけになってしまったけど妹に貸す。
 
飼い猫を灯す

にゃにゃあにゃあにゃあにゃあにゃにゃあ【訳:君は私をそっと抱き上げるべき】(柳本々々)

モリス氏のご実家から届いた新茶を飲んだ。今年も美味しい。
「狩人の夜」を観ようとしたら、録画したつもりがしていなかった、沈む。6月の「ファントム・オブ・パラダイス」は絶対忘れず録画しないと。
 
ホルンの耳

きのふけふあしたあさつてしあさつてあたしあなたのこゑをきく耳(本多響乃)

最近眠くて朝井リョウ加藤千恵のオールナイトニッポンがリアルタイムで聴けない。最後の「来週へつづく」はリアルタイムで聴かないとなんか意味がない気がする。寝かけながら聴いた朝井さんの母の話、深く共感した。私も中学生くらいまで、母親っていうのは、母親っていう生物で自分と同じ人間だと思っていなくて、「母親にあだ名がある」とかの驚きすごくよくわかる。
 
ひとりごと

千円の恋愛攻略本を読み息のし方の勉強を始めた(川村有史)

昨日、スパイダーマン2をみて今日はスパイダーマン3。スパイダーマンって、かっこわるくて狭い範囲でわちゃわちゃしてるのがとても好きだ。3はサンドマン誕生のシーンが何回みても謎でおもしろい。あの謎の砂の実験はなんなんやろう。そして、あらためてみるとほんまにセッションの鬼教師フレッチャーが出てるんやなぁ。
 
こぼれる

赤、橙、黄、緑、青、藍、紫、きらきらとラインマーカーまみれの聖書(穂村弘)

「思い出は思い出として大切にとっておけばいいじゃない。たとえ幻だったとしても、楽しい時間を一瞬でも過ごせたんだから、それでいいじゃない。私には確認しようもないけど、もし、本当にその瞬間、あんたたちの心が通い合っていたとしたら、その夜は宝石みたいなもんなんじゃない?取り戻せないからこそ、大切な時間だよ。それなのに、あんたはその奇跡に感謝しようともしない。あってしかるべき状態と決めつけている。相手にあれと同じものをもっとくれ、としつこく要求するのはやめなさいよ」
(柚木麻子『ナイルパーチの女子会』より)

ナイルパーチの女子会、読んでる。これこの先どうなって行くんやろ。気になってどんどん読んでしまう。
 
そとが光る

何も手に入れられないままユニコーンと夜行列車に揺られています(ニキタ・フユ)

この短歌を読んで最近読み終わった「虹色と幸運」を思い出した。自分の幸運は見えにくいのが、この短歌を読むとしみじみ思う。ユニコーンがそばにいるってすごいことなのに、何も手に入れられないままだと思っているのがいいなぁ。
 
ふくらむ夜と星の妄想

僕が夜だと思うならまだ夜で世界と少し時差があるだけ(北虎叡人)

行きたい展覧会が山積みで、行きたいのにああ行けなかったになりそうで怖い。玉川桜さんの「バラバラビリンス」は絶対行きたいし、伊丹のぐりとぐら展は父がなぜか招待券をくれたし、nowakiの植田真展は「窓の向こうのガーシュウィン」の文庫表紙を本屋で見かけてとても行きたくなった。ondoは網代幸介展やし、トランスポップギャラリーの白根ゆたんぽ展は明日までかぁ。
 
縦に雨粒、横に雲

雨の日は雨の降らないストリートビューを歩いてきみの家まで(岡野大嗣)

この絵を元にまたブックカバー作ろう。絵のリフレインが好きなので、ブックカバーを作るのは時間がかかるけれど楽しい。
柳本々々さんがあとがき全集で私の絵のリフレインについて述べてくれていた。
羊の群のなかで山羊が描くあとがき。羊羊羊ひつじヒツジ未
 
雨粒ステーション

「いきますか」「ええ、そろそろ」と雨粒は雲の待合室を出てゆく(木下龍也)

「ファミリー・ツリー」を観ている途中で、車谷長吉さんが亡くなったと知った。
 
さくらんぼの味

いくつもの家出をそっと諦めて大きなかばんとともに暮らした(佐伯紺)

土曜日は久しぶりに星霜珈琲店にいって、帰りにジュンク堂で杉戸洋ポストカードブックを買った。これ、とても気に入ったので、保存用にもう一冊ほしい。日曜日は川柳フリマに行くはずが行けず、悲しかった。
 
記憶に残っていること

明日には複製されてしまうからどうしようもなく今日が愛しい(石井僚一)

今日のことを明日になって思い出したとき、もうその今日は記憶として複製画みたいなものでしかなくて、原画は二度と手に入らないんやなぁとこの短歌を読んで思った。あと宇宙的スパンでみたら、今日と明日の違いは鳩の柄くらいの違いしかないように思う。
 
にじむ虹

幸せがのびのびしてる小説で少し曇った眼鏡を掛ける(今野浮儚)

口に入れ、ぎりぎり待てるだけ待ってから、やわらかくなったチョコレートをゆっくり噛んで、ピルザダさんの家族が無事でいますようにと祈ったのである。......この夜、わたしはバスルームへ行ったものの、歯を磨く真似をしただけだった。磨いたらお祈りまで口から流れてしまいそうな気がした。(ジュンパ・ラヒリ『ピルザダさんが食事に来たころ』より)
ジュンパ・ラヒリ「停電の夜に」を読んでる。短篇小説ベストコレクション「美しい子ども」の中の「地獄/天国」がとてもよかったので買った。

 
みずうみラーメン

みずうみを喉を鳴らしてのみました塩らーめんのおいしい店で(岡野大嗣)

柚木さん、山本周五郎賞!「ナイルパーチの女子会」、まだ買ってない。早く買おう。
ルクアイーレの上にできた蔦屋書店にこの前初めて行った。円形の本棚のまわりを落ち着きなくぐるぐるまわっただけなのに楽しかった。またゆっくり行きたいけど、セルフレジが怖くて肝心の本が買えない。
 
昼の幽霊

たくさんのたくさんの人がいる中でただ手を繋げる人を探した(後藤葉菜)

第七藝術劇場で「恐怖分子」を観た。ああ、すごくよかった。とりつかれそうになる映画だった。

雨宮まみさんの「失恋の残りもの」に絵をつけています。→失恋の残りもの第15回
来年の桜はしっかり見たいと思った。
 
雨と熊のセッション

あと雨が4回降ったら死にますとぽつりもらしたサーカスのクマ(木曜何某)

昨日は寝る前にイシヤマアズサさんの「真夜中ごはん」を読んでお腹がへって、今日は「ランチのアッコちゃん」をみてお腹がへってる。
 
ツバメがもたらす予期せぬ奇跡

食欲は連日連夜押しかけて生きよ生きよと僕らを脅す(やじこ)

昨日が最終日だったチューリヒ美術館展、なんとかぎりぎり行けた。父がチケットをくれていて、そのうち行こうと思っていたら最終日だった。せっかくもらったチケットを無駄にしなくて本当によかった。豪華な展示やし、点数もちょうどよくてよかったなぁ。しかし、ホドラーみて、ホドラー展行けばよかったと後悔し、シャガールみて、この前姫路にいたんやからシャガール展も観ればよかったと後悔した。
 
一晩泊める

明日には消えているかもしれなくて少しも海の気配がなくて(風野瑞人)

文学フリマには行けなかったので、川柳フリマには絶対行きたい。
 
夢の底のバニラアイス

どうしても夢が混ざってきてしまう何味だろうアイスクリームは(柳谷あゆみ)

「セッション」を観た。凄い。おもしろかった。鬼教師フレッチャー、凄いなぁ。昨日の「バードマン」の心地良いドラムと違って、血塗られた呪いのドラムという感じだった。そしてこの映画も女の子がとてもかわいい。「バードマン」と「セッション」とどっちが好きやろうと帰りの電車でずっと考えていて、「バードマン」はもう一回観たいけど、「セッション」は濃いからもういいかなぁと思った。でも好きなのは「セッション」だ。「バードマン」をもう一度観たいのは、なんか見逃しているところがいろいろあるだろうと、もやもやがあるからで、「セッション」はとてもシンプルで好きだ。
 
そっとかぶせる

地球には風ってものがありたまに誰かの初夏を伝えたりする(牛隆佑)

姫路で「バードマン」を観た。おもしろかったなぁ。表現者の業、すごい。娘役の子がとてもとてもかわいかった。ドラムが心地良い。気持ちよく飛んでたのもよかった。もう一回観たい。レイモンド・カーヴァーの「愛について語るときに我々の語ること」を読んでから見た方がいいと聞いたので読んでから観た。読んでから観てよかった。
 
真夜中まで

枯れたからもう捨てたけど魔王つて名前をつけてゐた花だつた(藪内亮輔)

ブログを始めて5年経った日。
昨日初めて「真夜中のニャーゴ」をみた。おもしろかったー。初っ端から有村桔梗さんの短歌が登場して夜中にひとりで盛り上がった。その上、朝井リョウに「この人すごいなぁ」と言われていた伊藤朱里さんが今日、太宰治賞を受賞されてめっちゃびっくりした。
 
「サイレンと犀」ブックカバー

「ハムレタスサンドは床に落ちパンとレタスとハムとパンに分かれた/岡野大嗣」のブックカバーを作りました。セブンイレブンのコピー機から出せます。(B4・カラー・1枚60円・5月13日まで)詳しくはこちら→『サイレンと犀』ブックカバー
パンとレタスとハムを描くのに二日かかったので、出してもらえるうれしいです。
ハムレタス以外の柄も出せるようになっています。
 
白色と不運

新聞がきょうもきてないこの朝に戦車のような羊の群れが(柳本々々)

他人の幸運はくっきりとよく見えるけど、自分の幸運はもやにつつまれたように、いやもっと濃い、雲の中にいるように、手さぐりで確かめるしかなくて、そこにあるのに、すぐに見えなくなってしまうのかもしれない。
(柴崎友香『虹色と幸運』より)
ゆっくり読むつもりが、「十二月の金曜日 冷たく澄んだ空気」まで読んでしまった。
 
友人のニワトリ

あたためることのできない心臓とつめたいままのきんぴらごぼう(宇野なずき)

眠い、と珠子は突然思った。足からだるさが上ってきて、眠気が全身を包んでいく感じがした。あー、めんどくさい。と声に出して言いたかった。珠子は面倒だと眠くなる。
(柴崎友香『虹色と幸運』より)
面倒だと眠くなるの、よくわかる。『虹色と幸運』、五月だから「五月の連休の二日目 日差しがまぶしい」まで読んだ。
 
毛深い雨

手についた犬の匂いをいつまでも嗅いで眠りたいそんな雨です(柳澤真実)

春日 この短歌が書けたから、これからは救われそうだ、みたいな手応えはあったの?
穂村 そういうのはないね。だって、神様がそういう風には設定していないから。
(春日武彦、穂村弘『秘密と友情』より)

そうなのか。しつこく読んでいた「秘密と友情」が読み終わった。
 
シロとキイロ

五月をシロと名付ければシロはいつまでもわたしの鼻をなめるんだ(フラワーしげる)

5月になった。5月に思い出すフラワーさんの短歌。イラストレーターの朝野ペコさんが「シロ」という名前の犬を飼っていたと個展の時に聞いた。
 
パンにレタスとハムとパン

ハムレタスサンドは床に落ちパンとレタスとハムとパンに分かれた(岡野大嗣)

5月のカレンダーを作りました。→サイレンと犀5月カレンダー